2017/1/10
2019/6/29追記(赤字の箇所)
このサイトでもたびたび考察してきたテーマ「時間とは何か?」
昨年末の不思議.netでも「"時間"という概念は人間の記憶によって作り出された幻想にすぎない」という記事が掲載されていた。
2016年12月11日 不思議.netより
以前紹介したブラッド・スコウ博士のスポットライト理論のベースにもなっているブロック宇宙論をとりあげ、
「過去に起こった出来事」も「これから起こる未来の出来事」も実際には「今この瞬間」に起こっており、私たちは時間と空間をつなぎあわせた「ブロック宇宙」に住んでいるーと考える物理学者もいる。
具体的な例として2人の物理学者の考えが紹介されている。
米マサチューセッツ工科大学(MIT)のマックス・テグマーク博士によると、我々は一般的に時間の経過にともなって事象が変化していくと思っているが、実際に意識しているのはこの瞬間の「今」だけである。
過去が存在するという唯一の理由は、脳が記憶を保存しているからだそう。
イギリスの物理学者ジュリアン・バーバー博士も同じように「過去」とは脳の記憶そのものであり、過去が実在するという根拠として岩石や化石をあげてみても所詮ただの記録にすぎず、その記録が存在するのはこの瞬間だけなのだという。
「この世界は実は5分前に始まったのかもしれない」という哲学者ラッセルの世界5分前仮説(wikiより)が本当に思えてくるような考え方だが、ブロック宇宙論を調べてみると、物理学者ブライアン・グリーンは著書「 宇宙を織りなすもの」で「ブロック宇宙」を食パンのかたまりにたとえている。
パン屋で焼きあがったばかりの食パンがさまざな部分をさまざまな角度でスライスできるように、われわれのミンコフスキー時空(3次元空間に1次元の時間を足した4次元時空)も観測者によってさまざまな時間断面でスライスすることができる。
相対性理論によれば過去・現在・未来という区別は幻影にすぎず、すべての時刻は対等であり、全体としてひとかたまりの「時空」だけが実在する。
昔ながらの「時間が流れている」という概念は、人間の頭の中にしか存在しない。
一般的な感覚からすると「時間の流れ」が幻想だといわれても、その考えこそ幻(まぼろし)だと思ってしまうが、時間が実在しない、人間の記憶によってつくりだされたものだとすると、このサイトのメインテーマであるタイムトラベル、「時間をさかのぼって過去にいく」もしくは「時間の流れを速めて未来に行く」ためにはどうすればよいのか?
落ち着いて考えをまとめてみた。
最近の物理学者の発想に習って「過去・現在・未来」がひとかたまりの食パンのように同時に存在するならば、時間を"さかのぼったり早めたりする"のではなく、単純に飛行機で外国に行くように「今」というこの瞬間から「過去」や「未来」に"移動する"と考えたらどうか?
「時間の移動」といえば、このサイトでも考察したことのある、時間を空間と同じように3次元にとらえて移動するタピオカ理論である(ネーミングセンス的にもこの理論が気に入っている)。
さて、タピオカ理論は2chというネット掲示板発の理論なのでフィクションととられても仕方ないが、時間を3次元ととらえて研究している物理学者はいないのだろうか?
試しに「3次元時間」や「3dimension time」で検索したところ、それらしいサイトが1つ見つかった。
元イギリスのLeeds大学教授で2007年にリタイアし、今はスコットランドのDollarに住んでいるエリック・AB・コール博士の研究「6次元相対性理論」である。
まずは簡単に理論の概要を紹介しよう。
(このサイトがUPされたのは2012年頃のようです。現在は残念ながらリンク切れです)。
私たちの日常は3次元の空間と1次元の時間の組み合わせの中で暮らしているように思える。
しかし本当は時間が3次元だったらどうだろう?
もしそうなら空間を自由に移動できるように、時間においても普段進んでいる道とは違う方向へ移動できるのだろうか?
このサイトは時間が3次元であるという可能性と、もしそれが現実であれば何が起こるのかを紹介している。
3つの空間次元に3つの時間次元を加えたものを「6次元理論」と呼ぶことにする。
6次元理論では、物体は異なる空間方向と同様に、異なる時間方向へも移動することができる。さらに観測者の時間方向と観測対象の時間方向が異なる場合、4次元時空とは異なる新しい観測現象が生まれることがある。
この6次元理論は次の3つの要件を満たす。
・特殊な場合として4次元理論を含む。
・なぜ時間が1次元だけに見えるのかを説明する。
・4次元理論では予測されない新しい観測現象を予測し、実験によって検証することができる。
(コール博士は)時間が3次元であることを、理論的な結果から導いた。この理論は量子論のように複雑ではなく、単純である。
ただし時間が3次元であるという主張が物理現象と合致しない証拠が出た場合、すぐに破棄してもらってもよい(それぐらいこの理論に自信をもっている?)
この理論では異なる時間方向の移動できる可能性を示唆するが、一般的にタイムトラベルと呼ばれる刺激的な移動ができると予測するものではない(残念!)。
あなたの母親が生まれる前に過去に戻り、母親の祖母を殺して過去を変えることはできない。もしそのようなことが可能であれば、この理論は破棄されなければならない
※コール博士は、過去は変えられないと主張している。
一般的な1次元時間にもう2つの時間次元を加えるには注意が必要である。2つの時間次元は「速度」あるいは「時間に対する変化率」などのように適切に定義しなければならない。
この6次元理論では、つぎの3つの予測を示す。
・6次元理論では、すべての時間方向が平行になるとき4次元理論に戻る。
・4次元理論では、物体のエネルギーはスカラー量なのに対して、6次元理論ではベクトル量である。
このエネルギーは物体の時間方向に沿って進み、その方向を変えるには莫大なエネルギーを必要とする。だから日常的には物体が1次元の時間方向に沿ってしか進んでないように見える。
・6次元理論では、現在の4次元理論ではうまく説明できない次の2つの現象を説明することができる。
1)ダークマターの存在を説明し、それがこの宇宙の物質の最大80%を占めると予測する。
2)光の速度よりも速く移動する粒子の現象を説明することができ、実際に定量化することができる。
さて、それぞれの予測を以下で詳しく説明していく。より専門的な解説が必要であれば、pdfを参照して欲しい。
(現在は残念ながらリンク切れで読むことができません。「Six dimensional relativity」という関連の論文は、ResearchGateという研究者向けのサイトのこのページで読むことができます。)
コール博士の6次元理論の核心は次回に。