2022/12/10
今回は視聴者の貴重な臨死体験と脳神経内科医の著書の事例から、「あの世の正体」と「タイムリープとの関係」を考察する。
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今回の考察は、現在大学生のジャックさんから寄せられた体験談がきっかけだった。
ジャックさんは中学2年生、13歳のときに脳出血で倒れた。
倒れる半年ぐらい前からときどき感傷的になったり、そろそろ死ぬかもという違和感を感じていた。
そして2015年7月4日土曜日の夕方、突然ひどい頭痛に襲われ「自分は明日死んでしまうかも」という考えが浮かんだ。
しかし昼間野球の練習で疲れていたこともあり、その夜は気にせず眠ってしまった。
翌朝起きると頭痛は少しやわらいでいたが「今日が自分の命日になる」という感覚は変わらなかった。
そんな気持ちを誰にも相談できないまま普段通りに過ごし、夕方、外出先で再び激しい頭痛に襲われた。
いっしょにいた母親が救急車を呼び、脳外科のある病院に運ばれた。
救急車に乗ったときは脳を引き裂かれるような痛みにのたうちまわっていたが、頭の中は冷静でいつも以上に冴えていて、悟りのような感覚さえ感じていた。
実際には同乗していた母に呼びかけられながら、意識を取り戻したり、またすぐに意識を失ったりを繰り返していた。
そのうち激しい痛みを感じなくなり、楽になっていった。
死を受け入れるにつれ、死が加速していくようだった。
すると急に激しい眠気が押し寄せ、幼いころからの走馬灯を見た。
どれも楽しい思い出ばかりで、中には忘れていた記憶もあった。
走馬灯を見ていたのはほんの一瞬だったが体感的には永遠に長く感じられた。
「それなりに楽しい人生だった」と満足して死を受け入れた瞬間、意識を失う寸前で「こんな惨めな人生のまま死ねるか!」と怒りがこみ上げてきた。
視界の上から黒いものが下りてきて目の前が真っ暗になり気がつくと、一面真っ白な世界にいた。
遠くの方に小学1年生のときに亡くなった曾祖母が着物姿で立っていた。
それがジャックさんが見た救急車の中での最後の記憶だ。
後で聞いたところ、病院に着いたときにはジャックさんの呼吸は止まっていたそう。
次にジャックさんが気がつくとベッドに寝ていて、そばで母が語りかけていた。
意識を取り戻したことを知らせたくて体を動かそうとしたがまったく動かない。
目も腫れていて開くことができず声も出せない。
耳だけはなんとか無事で、母と医師との会話が聞こえてきた。
「麻酔は切れているが意識が戻らない。3日で目覚めなかったら脳死と判定する」というのだ。
生きていることをなんとか伝えようと、必死に声を出したら泣き声になってしまった。
ジャックさんは野球をやったせいか元々声が大きく、泣き声は4階の病室から1階のリハビリステーションまで響いたそうだ。
それからしばらく昼間は泣き続け、夜は疲れて眠るを繰り返した。
眠ると毎日同じ夢を見る。夢の中でジャックさんは4歳に戻っていて、紅葉したモミジやイチョウがきれいな日本庭園のような場所にいた。
透き通った水の流れる池があり橋が架かっていて、池に映ったジャックさんは4歳の姿だった。
池の中を泳ぐ錦鯉を眺めたり岸に積まれた石をくずして遊んでいると、夕焼け空になりそろそろ帰らなければと庭園の出口を探したが、見つからない。
橋の向こう側には立派な門があり、門の前には屋台が出て大勢の人でにぎわっていた。
錦鯉が向こう岸に行ってしまったので、ジャックさんは追いかけて橋を渡ろうとした。
すると橋の反対側から、小学4年生のときに亡くなった叔母が歩いてきて止められ、「家に帰りなさい」と告げられた。
夢の中では歌声のような声がどこからか響いていた。
それは友達が届けてくれたクラスメイトの歌声が収録されたCDで、ずっと病室で流していた。
その声を頼りにさまよっていると、ある日を境に不思議な夢を見なくなった。
夢を見なくなるのと同時に比較的麻痺の軽かった右手が少しずつ動くようになり、家族や面会に来た友達と指先のイエス・ノーでコンタクトが取れるようになった。
朦朧とした意識も少しずつ回復していき、半年後にやっと鮮明になった。
もう1つ紹介したい不思議な体験がある。
脳神経内科の駒ヶ嶺朋子医師が書かれた著書「死の医学」から、
あるトラック運転手が事故に合って体験した話だ。
運転手の男性は5年前に高速道路を走行中、居眠り運転の車に後ろから追突された。
事故直後「あ! 追突された!」と思った瞬間スローモーションのような感覚になり胸をハンドルに強打し、シートベルトから体が抜けてフロントガラスにつっこんだ。
そのとき運転手の意識は空中に飛び出して下を見ると、頭をフロントガラスに突っ込んだ自分がつぶれた車内にいる光景が見えた。
「こりゃもうだめだな」と思ったら、体が空に向かってスーッと上がっていった。
最初は真っ暗なトンネルにいるようで、周りがよく見えなかった。
向こうの方にチカチカ輝くきれいな光が見えてきた。
ふと気づくとその光に向かって、自分の他にも飛んでいる人が見えた。
トンネルを抜けると雲の上で、ロウソクのような卒塔婆みたいな細長い棒がたくさん立っていた。
棒の長さはそれぞれバラバラで、名前が書いてあったが読むことはできなかった。
運転手はその棒の長さが、それぞれの人の余命を表しているって思ったという。
そのとき恐怖は感じず、死んだ後にはこんな美しい場所にこれるのかと安心したそう。
人々が笑顔で集まっていてその中心には白い服を着た男性が立っていた。
運転手が近づくと白い服の男性は両手を広げたので飛び込もうとしたら、男性は運転手の名前が書いてある棒を指さした。その棒の長さはまだ半分ぐらい残っていた。
白い服の男性は運転手に向かって来た道を戻るように指さした。
「まだこっちにきちゃだめなんだ」と思った運転手は来た道へ引き返した。
するとしだいに右足が痛くなりそれは激痛に変わり「うわー!」と叫び声を上げた。
気がつくとつぶれた車内にいて救急隊員が必死で自分を助け出そうとしていた。
しかしすぐに気を失い再び気がつくと、手術室の天井すれすれに浮かんでいて、自分が手術される光景を上から眺めていた。
運転手の体には真っ赤な輸血パックやいくつもの管がつながれていて、胸と右足を別々の医師が同時に手術していた。
手術は8時間にも及び、運転手はその間ずっと天井に張り付いて見ていた。
後から聞いたところでは、運転手のケガはろっ骨が折れて肺に突き刺さり、右足の大腿骨は骨折した骨が皮膚から飛び出していた。
胸部外科医と整形外科医が同時に手術してなんとか一命をとりとめたという。
これは運転手が天井から見ていた光景と一致している。
この体験を紹介している駒ヶ嶺医師の著書「死の医学」には脳医学の立場から、運転手の経験した臨死体験のメカニズムが解説されている。
臨死体験とは、大きな事故や重い病気で生死の淵をさまよったときに報告される不思議体験だ。
駒ヶ嶺医師によると、心筋梗塞や交通事故で心肺停止になりその後命が助かり回復した人のうち、1割から2割が臨死体験を経験しているという。
しかも臨死体験には、トンネルや光、花畑や川、亡くなった親しい人に出会うなど、国や民族や宗教を越えて共通するキーワードがある。
ここから「臨死体験は脳の機能に由来する生理現象」という考えが脳医学の認識になってきたそうだ。
臨死体験が実際にあったかどうかを調べる基準として、バージニア大学の精神科医ブルース・グレイソン医師が1983年に考案した「グレイソン臨死体験スケール」が使われる。
「認知」、「感情」、「超常現象」、「超越」という4つのカテゴリーに分けられた16項目の質問に0点から2点までの点数をつけて集計し、7点以上で「臨死体験あり」と判定される。
たとえば最初のQ1「周囲の時間の加速感」は、「時間の経過が早くなったり遅くなったりしたか?」で判定される。
たとえばジャックさんの例では、走馬灯を見ていた一瞬が永遠に感じられたので2点だ。
運転手さんの事例では、追突されたと思った瞬間スローモーションのような感覚になったから2点。
Q3「過去の光景の目撃」は、ジャックさんは池に映っている4歳の自分を見たので2点、でも運転手は過去の光景は見てないから0点。
逆にQ12「肉体から離れた」では、運転手はつぶれた車内にいる自分を見たり天井から手術されている自分を見ているから2点。けれどもジャックさんは体験してないから0点だ。
こんな風に点数を付けていくと、ジャックさんのケースは18点、運転手のケースは20点、どちらも判定基準の7点をはるかに越えているから脳医学的にも臨死体験と言える。
駒ヶ嶺医師によると、トラック運転手が経験した意識が体の外に出るという「体外離脱」は、臨死体験を経験した人の8割で報告されている。
そして体外離脱は、脳の側頭頭頂接合部が活動することによって引き起こされることが最近の研究でわかってきた。
側頭頭頂接合部とは側頭葉の後ろ、頭頂葉の下、後頭葉前方の3つの領域が接する部分だ。
スイスの神経内科医オラフ・ブランケ医師は、てんかん治療の手術中にここを電気刺激すると、自分の体から意識が抜け出す体外離脱のような感覚が誘発されることを発見した。
駒ヶ嶺医師によると医学的には「体外離脱」、「オートスコピー」、「ホートスコピー」という3種類の現象が誘発されるという。
※オートスコピーはもう一人の自分を目撃するドッペルゲンガー、ホートスコピーは自分の意識が2つに分裂したように感じる現象。
以前紹介した、町田で自分そっくりの人間に出会い、パラレルワールドに行ったり世界の真実を教えてもらった話も、オートスコピーやホートスコピーで説明できそうだ。
なお体外離脱は、臨死体験だけでなく睡眠中にも起こる現象だ。
われわれは眠っているとき、脳幹という脳の中で一番古い部分のスイッチを切り替えて、筋肉をゆるめたり視覚や聴覚などの情報が意識にのぼってこないようにしている。
けれどもときどき睡眠中に意識をつかさどる脳の新しい部分が目覚めてしまうことがあり、このとき意識はあるのに体が動かせない、いわゆる金縛りの状態になる。
金縛りのとき脳が混乱して偽の知覚情報・・・不気味な人影が自分の上に乗ってきたり、見知らぬ人の声を聞いたり、誰かにさわられたりなどの幻覚を見る。
その中でも意識が体を抜け出して浮かぶ体外離脱のような「重力」に関する幻覚は、日常ではほとんど経験することがない幻覚だ。
もともと重力は他の五感と違い、普段の生活であまり意識されない感覚だ。
せいぜいエレベーターに乗って体がフワッとしたときや、長い間プールに入って水から上がったとき体が重く感じるぐらいだ。
ジャンプして着地するとき「いま体が地球の中心にひっぱられている!」とは普通思わない。
でも人間にはちゃんとこの重力を感じる器官があって、それが耳の奥にある三半規管や耳石器や前庭神経と、脳の前庭覚中枢という部分だ。
この前庭覚中枢は五感の次の6番目の感覚、シックスセンスを感じる場所だ。
さきほど紹介した側頭頭頂接合部に近接し、駒ヶ嶺医師によれば、体外離脱で体が浮かび上がる感じは、この前庭覚中枢を巻き込んでしまうからだという。
実際に前庭覚中枢に障害がある人は、体外離脱や離人症を経験することが多い。
離人症とは自分が自分だという現実感がなくなったり、心と体が離れてしまったように感じる障害だ。
だから前庭覚は心と体をつなぎとめる場所、駒ヶ嶺医師いわく、魂(自我)の宿る場所だ。
でも、なぜトラック運転手は天井から手術中の様子が見えたのか?
そのポイントは運転手が見た景色の見え方になる。
ジャックさんから送っていたいただいた追加情報によると、救急車で病院に運ばれたとき、雲一つない青空やよく買い物に行く店が見えて「この景色ももう見納めか」と思ったそう。
去年たまたま同じ救急車に乗ったとき、救急車に窓がないことがわかった。
つまり、窓のない救急車から外の景色が見えたのだ。
しかも手術中に外で待っている友達の姿も見えたそう。
ジャックさんの想像だったのではないかと確認してもらったところ、運ばれたときの天気は実際に晴れで、母親いわく、友達は本当に深夜まで手術室の外で待っていたが、次の日学校があったのでさすがに帰ってもらったというのだ。
臨死体験で見た景色と現実が一致したことになる。
ジャックさんは窓のない救急車や壁で仕切られた手術室から外の景色が見えた。
トラック運転手は天井から手術室全体が見渡せている。
2人が見たのは、普段ではけっして見ることのできない景色「4次元空間」の視界だ。
「4次元空間」はそれほど特殊なものではなく、われわれのいる3次元の延長にある空間だ。
4次元空間の特徴の1つとして「3次元空間全体を見下ろせる」というのがある。
ある次元の影は、1つ下の次元になる。
たとえば3次元の影は、2次元の面になる。3次元に住むわれわれは2次元の影を見ることができる。
では4次元に住む4次元人が影を見たらどんな風に見えるかというと、3次元の立体、球や立方体に見える。つまり4次元からなら3次元全体を見渡せる。
でも、どうやってジャックさんや運転手は4次元空間に入ったのか?
もちろん4次元が3次元の延長にあるからといって、そう簡単には入れない。
しかしこの世の中で、唯一4次元空間に侵入できる力がある。
この世界には電磁気力、強い力、弱い力、重力の4つの力があるが、重力だけが極端に弱い。
その理由を、アメリカの物理学者リサ・ランドール博士とラマン・サンドラム博士は「重力が他の次元に漏れ出しているからだ」と説明する。
この図はこの宇宙と別の宇宙「プランクブレーン」を2枚の膜に見立てたものだ。
重力以外の力はこの宇宙のブレーンに両端がくっついて離れられないが、重力だけはリング状で2つの膜の間を自由に動きまわれる。
でもこの間の空間はとてもゆがんでいて、重力はプランクブレーンのそばに集まり私たちのブレーンのそばにはあまりやってこない。
これが、この宇宙で他の3つの力に比べて重力が極端に弱い理由だ。
ジャックさんや運転手が4次元空間に入れた理由、それはつまり「魂(自我)」の正体が「重力」、あるいはその波「重力波」だと考えれば説明がつく。
われわれの自我は生命の危機に瀕したとき、それまでつなぎとめられていた脳の前庭覚から抜け出して、4次元空間に入っていく。
リング状の重力を「閉じた弦」、他の3つの力を「開いた弦」と言うが、閉じた弦がプランクブレーンに入り込むと、両端がくっついた開いた弦のように見える。
4次元空間を移動した自我がプランクブレーンに取り込まれて開いた弦になると抜け出せなくなる。
そこを越えるともう戻れない境界線、つまり三途の川だ。
プランクブレーンの手前が三途の川だとすると、プランクブレーンは・・・「あの世」。
私は心理学者ユングの提唱した人類に共通する意識「集合的無意識」もこのプランクブレーンにあると考える。
「現時点で一番可能性の高いタイムリープする方法」(2022年度版)で「集合的無意識は4次元にある」と説明した。
現時点で私が考えるタイムリープとは「集合的無意識の一部である自我が4次元方向から視点を変えて、現在とは異なる時間、過去や未来を観測する現象」だ。
相対性理論では時間を空間と同じように「時空」としてとらえる。
体外離脱で4次元空間を動き回れるのなら、時間も自由に移動できるはずだ。
ただし臨死体験という命が危険の状態でないとタイムリープできないのであれば、意味がない。
もう一度シックス・センスに話を戻すと、われわれの自我がある場所は脳の前庭覚だ。
GVSという前庭神経を電気刺激して活性化させる装置がある。
一般的には内耳の検査や疑似的な加速度を生み出してVRに使われる技術だ。
でもこのGVSで、側頭頭頂接合部の活動を変調させると自己中心的な視点が促進されるという論文を見つけた。
●Vestibular stimulation makes people more egocentric/HALより
(前庭刺激は人をより自己中心的にする)
「自己中心的な視点」わかりやすくいえば「体外離脱をしたときの心と体が離れた視点」だ。
この装置を睡眠中の深い眠り、時間感覚を脳と切り離せる可能性のあるタイミング、ノンレム睡眠のときに使えば人工的にタイムリープを起こせるかもしれない。
これはまだ仮説で、今後検証していきたい。