2025/2/15
私たちの住む世界の本質とは何なのか? 時間や空間は本当に存在するのか? 最新の物理学の発見が、長年語り継がれてきた不思議な体験の謎を解き明かそうとしている。
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2024年12月31日、プリンストン大学などの研究チームが発表した「コスモヘドラ」という論文が、私たちの世界の真の姿を示唆する重要な手がかりとなっている。
コスモヘドラは、宇宙が誕生したときの状態(コスモロジカル波動関数)を、多面体という立体図形で表現する革新的な手法だ。初期宇宙の複雑な計算を多面体で表現することで視覚的に理解できる。
この多面体の特徴は、その入れ子構造にある。ロシアの伝統的な人形、マトリョーシカのように大きな構造の中に同じような小さな構造が含まれ、さらにその中にも同じパターンが繰り返されていく。
この「フラクタル」と呼ばれる性質は、自然界でも頻繁に見られる。ブロッコリーの形状や雪の結晶、さらには宇宙の銀河の分布と脳の神経細胞のパターンまで、驚くほど似た構造を持っている。
初期宇宙の複雑な計算を「多面体」で表現するコスモヘドラに関して、読者の方にお伝えしておきたい情報がある。
このサイトではかつてネット掲示板の2ちゃんねるで話題になった「梯子の物語」という不思議な体験談を紹介している。
「梯子の物語」の梯子さんは、ある雨の夜にコンビニで受け取った謎のメモをきっかけに信じがたい体験をすることになる。姉だった存在が妹に変わったり、2009年から2028年へ時間移動し新しい妻子がいる世界を体験したり、いくつものパラレワールドを渡り歩いた。
梯子さんが出会った謎の女性「ゆんゆん」は、世界の真の姿について興味深い示唆を残している。
「大きな集合体としての想念は物理に干渉する。選ばれた停点は点ではなく多様体として存在し、それは次元ごとに本のようにページとして重なっている」
この文章は梯子さんがゆんゆんの発言を書き留めたメモの一部だが、実は梯子さんのメモには「多様体」ではなく「多面体」と書かれていた。
梯子さんからこの話を聞いたとき、サイコロのようなたくさんの面が組み合わさっただけの多面体より、後に続く「次元」という言葉から「カラビヤウ多様体のような次元をまたいで存在するイメージが近いのでは?」と梯子さんに提案し、最終的に「多様体」と表記した。
※梯子さんも「メモの言葉がすべて正確かは自信がない」と言われていた。
しかし今回の論文を知って、もしかしたら「多面体」でもいいのでは?と思い直した。それにはもう1つ理由がある。
「コスモヘドラ」の執筆者の1人、プリンストン高等研究所のニマ・アルカニ=ハメド博士は「アンプリチューヘドロン」という概念を提案している。
これは素粒子の相互作用を多面体で表現する手法で、コスモヘドラと同じように複雑な計算を驚くほど単純化できる。
例えばサッカーでゴールを決めるとき、選手の動き、風の強さ、ボールを蹴る角度など、無数の要素を計算する代わりに、「このエリアから蹴ればゴールできる」という特別な形があり、それを使うだけで結果がすぐにわかる。その形がアンプリチューへドロンだ。
しかしさらに重要なのは、このアンプリチューヘドロンが、私たちが「基本」だと考えている時間や空間を使わなくても計算できるという点だ。アルカニ=ハメド博士いわく世界の本質は、時間でも空間でもなく「関係性」だという。
つまり、情報と情報がどのようにつながっているかという「関係性」こそが、この世界の根本的な性質なのかもしれない。この考え方は、先のゆんゆんの謎めいた言葉とも符合する。
最新の物理学の理論は私たちの常識を覆すような示唆を与えてくれる。時間や空間は基本的なものではなく、もっと深い「関係性」という本質があるのかもしれない。
そして、この考え方は「梯子の物語」のような不思議体験の謎を解く鍵となる可能性がある。時間移動や現実が変化するパラレワールド体験は、私たちの世界の本質である「関係性」が変化することで起きているのかもしれない。