2022/7/16
今回は、未来から過去の自分へテレパシーを送ることでタイムリープする「時間超越体験法」と、それを裏付けるような超能力実験を紹介する。
「時間超越体験法」のYouTube動画↓
「ダリル・ベム博士の実験」のYouTube動画↓
未来から過去へテレパシーを送ってタイムリープする・・・トンデモに聞こえるかもしれないが、この表現はもともとこの方法を実践した投稿者が、超能力ブームの渦中だったた1970年代の本からヒントを得て編み出したものだからだろう。
「時間超越体験法」は、2010年8月8日の「時間旅行」というサイトに掲載されたKさんの体験談で紹介された方法だ。
投稿者のKさんは、35年ほど前(1975年の中学生のとき)、理科の先生から夏休みに「タイムトラベルが可能かどうか、中学生らしい視点でレポートを書く」という宿題を出された。
タイムトラベルについて興味のない人は「行ってみたい時代」を書いてもよく、タイムトラベルについてよくわからなかったKさんは当初、行ってみたい20年後を書こうとした。
けれど下校中に立ち寄った本屋で、ジュニア向けの「4次元の世界」について書かれた本を見つけ「これは!」と思い購入し、本に書いてあった「時間超越体験法」を試してみることにした。
本によると「自分という存在」は、おそらく明日という未来にも存在しているはずで、その理屈からすると「今、過去の自分に対してテレパシーを送りそれが届けば、過去の自分に未来の記憶が残る」というのだ。
つまり「現在から過去の自分にメッセージを送り、それが成功すれば、送られたメッセージを、過去で予言のように受け取ることができる」ということだ。
やはりトンデモじゃないかと思われるかもしれないが、このサイトで何度も紹介している「量子もつれ」を利用すれば可能かもしれない。
2つの量子がもつれ状態になっていると、それぞれの量子をどれだけ遠くに離しても、1つの量子の状態が決まると、瞬間的にもう一方の量子の状態が決まる。
この仕組みとして、2つの量子が時空を超え、とても小さなワームホールでつながっているという仮設がある。
さらに量子脳理論の記事で紹介したが、脳は量子的な活動をしている可能性がある。
自分の脳だからこそ、現在の脳が量子もつれで過去の脳とつながりやすいかもしれない。
Kさんが買った本によるとこの方法は、眠る前など毎日同じ時間、決まった場所で行うとのことで「寝ながらでもできるなら」と、さっそく軽い気持ちで試してみた。
具体的な方法として不謹慎とは思ったが、そのころニュースで報じられていた殺人事件の被害者の女性の顔を、眠りに落ちる瞬間意識して過去の自分にテレパシーで送ってみることにした。
そこで、テレビの中の女性の顔をあらためて見たところ・・・なんとその顔は、1ヶ月ぐらい前から、ときどき夢の中に現れる女性の顔だったのだ。
Kさんは「いつの間にか成功していた」と驚き、その日から女性の顔を頭の中で集中して思い浮かべ、過去の自分へ送り続けた。
ところがしばらく経って、そろそろ「時間超越体験法」にも飽きてきたころ、Kさんの周りで不可解な出来事が起こった。
目の前で突然巻き寿司が消えたり、Kさんが外出中のとき、家族全員がKさんを見たと言ったり、近所の人から、Kさんの自宅の上空を時々UFOみたいな光が飛んでいるとおびえた顔で言われた。
まさに超常現象のオンパレードな出来事が続き、Kさんは怖くなって一切この方法をやめた。
すると不可解な現象も起こらなくなった。
けっきょく夏休みの宿題は、最初に予定していた20年後の未来を書いた。
考察の手がかりとして、まずKさんが1975年ごろに読んだという「4次元に関するジュニア向けの本」を調べた。
すると、ムーのオンラインの「懐かしの昭和オカルト回顧録」という記事で、ちょうどそのころ発売されたジュニア向けの4次元に関するミステリー本を紹介していた。
しかし残念ながら、Kさんが試した「時間超越体験法」についての記事は見つからなかった。
その代わり、1970年代から80年代にかけて「超越瞑想」という瞑想法が流行していたことがわかった。
「超越瞑想」はTMとも呼ばれ、1950年代にインドの行者マハリシ・マヘーシュ・ヨーギー氏によって開発された瞑想法だ。
1960年代から70年代にかけてブームとなり、あのビートルズやキャメロン・ディアス、クリント・イーストウッドといった海外のセレブたちもこの瞑想法にハマったそうだ。
「超越瞑想」は原則として毎日朝と晩の2回、1回につき20分程度マントラをとなえる。
※マントラとは意味のない3文字から4文字の言葉。
姿勢は自由だが、横になると眠ってしまう可能性があるので避けた方がいい。
イスやソファーに座ってもいいし、あぐらをかいてもいい。その状態で目を閉じ、3分ほどボーッとしてリラックスする。それから「マントラ」を頭の中で繰り返し唱える。
その間雑念が浮かんでも、それを取り払ったり何かに集中する必要はない。
以前に紹介した「今」に集中するマインドフルネス瞑想とは違い、瞑想中に何を考えてもいいし、雑念はただそのまま放置しておけばいい。
眠る前など毎日同じ時間に行うことと、同じイメージを繰り返すことが「時間超越体験法」と似ている。
それから、もう1つムーの記事に興味深い情報が載っていた。
この超越瞑想の本質は「目覚めながら眠ること」だ。
つまり、意識の一部を覚醒させたまま睡眠状態に入る「明晰夢」にとても近い。
ある意味「超越瞑想」や「時間超越体験法」は、明晰夢を使ったタイムリープの新しいバージョンとも言える。
それから「時間超越体験法」の関連情報を調べていて、この方法が有効に働く根拠にもなりそうな興味深い実験を見つけた。
アメリカの名門コーネル大学のダリル・ベム博士が、2011年にこの実験を発表したとき、心理学の学会を中心に大きな論争が起こった。
ベム博士は心理学の分野で実績のある人物で、論文が掲載されたのも学会で権威のある専門誌「Journal of Personality and Social Psychology」だった。
さらに衝撃を与えたのは発表された実験の内容で、当時この論文のニュースにつけられたタイトルは「人間はポルノのことだと予知能力が上がる」(GIZMOD0より)。
ベル博士の論文「Feeling the Future: Experimental Evidence for Anomalous Retroactive Influences on Cognition and Affect」は、1000人の学生を対象に、PSI(サイ)という超能力の一種「予知能力」に関する実験を行い、9種類のうち8つの実験で、意味のある結果が得られたという。
実験の中で性的な刺激のある写真が使われていたからこんなニュースのタイトルになったのだが、それよりも学会にセンセーションを与えたのは、予知能力が実験で証明されたという点だ。
9つの中で一番有名な実験を紹介しよう。
パソコンのモニターに2つのカーテンが表示され、その裏には白紙か写真のどちらかが隠れている。その写真の方を当てる実験で、男女50人ずつ合わせた100人が参加し、1人につき36回テストが行われた。
最初の40人は36回のうち12回に性的な刺激のある写真が使われ、次の60人は36回のうち18回性的刺激のある写真が使われた。
その結果、普通の写真の的中率は49.8%だったのに対し、性的な写真が使用されたときにだけ的中率が53.1%になった。
この53.1%という数字は、偶然の確率50%をたった3.1%超えただけと思われるかもしれないが、意味のあるデータだ。
この実験は「t検定」で判定が行われている。「t検定」では一般的に、実験で得られたP値が0.05以下ならそのデータは有意、つまり統計的に意味があると判定される。
性的な写真を使った実験では、このP値が0.01だから、偶然ではないと判定されたのだ。
ほかの実験では、怖い画像を2つ並べてそのどちらが好きか選らんでもらう。その後どちらかの画像がランダムで、サブリミナル的に短い時間、何回か表示される。
すると、表示された画像が選ばれることが多かった。
これは、事前に同じ怖い画像を何回も見るとその画像に慣れて怖さが低減する、心理学で「馴化」と呼ばれる現象が利用されており、普通の順番では実験前にサブリミナルが表示され、表示された画像が選ばれる確率が高くなる。
ところがベム博士の実験では、選んだ後で、サブリミナルで表示された画像が、選ばれた写真と一致する確率が高かった。
つまり、無意識に未来で慣らされた方の画像を選んでいた・・・「未来で無意識に、サブリミナル表示される画像を予知していた」と言えるのだ。
この2つの実験以上に私が興味をもった実験がある。
100人の学生に、パソコンのモニターで、食品、動物、職業、衣料品という4つのカテゴリーから選ばれた48個の単語を次々に見せ、それをイメージしてもらい、それから覚えている単語を思い出してタイプしてもらった。
その後、ランダムに選ばれた24個の単語がモニターに表示され、学生は表示された単語をクリックして、空欄にそれをタイプするよう指示された。
この実験のP値は0.029で、有意という結果になった。
この実験のもつ意味だが、最後のランダムに選ばれた24個の単語をタイプする作業は、暗記した単語を「もう一度復習する」という意味を持っている。
いわば試験が終わった後、もう一度同じ問題を勉強するようなものだ。
でもテストはすでに終わっているから、その後どれだけ勉強しても勉強しなかった学生と比べて、最初のテストの結果に差が出ることはないはずだ。でもこの実験では、その差が出たという。
さらに50人の学生で、今度はタイピング作業のときカテゴリーごとに単語を順番に見せ、それぞれの単語をイメージしてながら入力してもらったところ、P値は0.002で、さらに意味のある結果が出た。
試験が終わった後にその内容を復習したら、その試験の成績が上がったというのだ。
つまりこの実験では、未来に行なった学習が過去に影響を与え、過去を変えたことになる。
学会の関係者たちは「そんなことが起こるはずはない」と思った。
そんな反応が出ることを予想してか、この実験を誰でも簡単に再検証できるよう、ベム博士は実験に必要なソフトウェアを提供した。
カリフォルニア大学バークレー校のリーフ・ネルソン博士やカーネギーメロン大学のジェフ・ガラク博士などが実際に追試して検証した。
その結果、残念ながら誰もベム博士と同じ結果を得られなかった。
それからベム博士の実験は幻だったと学会で批判にさらされたが、博士はそれに答えるように世界中の33の研究所に協力を仰ぎ、のべ12406人が参加して有意な結果が出たという論文を2015年に発表している。
実験に使用した性的な画像や恐怖画像は、人種や文化によっても受け止め方が違う。
日本でのPSI現象の先駆的な研究者、明治大学の石川博士によれば、ベム博士の実験は、参加者や実験者の心理状態、そのほかの環境で、結果は変わる可能性があるという。
参加者や実験者が実験に懐疑的だと、上手く効果が現れないかもしれないのだ。
私は「PSI現象をどれだけ信じられるか」が、重要なポイントだと思う。
ベル博士の実験では、性や恐怖、サブリミナルといった「無意識下の環境」が、実験の舞台になっている。
その中で、あえてこれを「意識的に行なう」ことができたら、その効果を高められるのではないか。
以前に記事で紹介した「近未来氏の意識的な選択」、これはその後のアンケート調査でも、効果があったとのデータが出ている。
※「意識的な選択」のアンケートにご協力ください。
PSIの検証実験に「意識的な選択」を取り入れてみたらどうだろう。
PSI現象を「意識的に信じて行えるか?」をポイントとして加えるのだ。
「時間超越体験法」の仕組みで紹介した未来の脳と過去の脳の「量子もつれ」。この「量子もつれ」には「エンタングルメント強度」という指標がある。
「意識的な選択」によって未来の脳と過去の脳のつながりを強めることができれば、予知的なPSI効果を高めることができるかもしれない。
いずれ今回の仮設を検証できるような実験をしたい。