2023/7/15
今回は、白いトンネルを通ってタイムスリップした話を考察する。
動画はこちら↓
この話はもともと、お笑い芸人のナナフシギさんがYouTubeで語ったTさんという方の体験談だ。
ナナフシギさんの動画↓
Tさんは子供のころからたびたび不思議な出来事に遭遇している。
最初は小学生の夏休み、カンカン照りの暑い日だった。
Tさんの家は山の上にあり、遊びに来ていた友達と昼食を食べた後、山の下に住んでいる友達の家へ自転車で下っていった。
急な下り坂を2人で下りているとき突然目の前に、普段は無いはずの白いトンネルが現れた。
中に輪っかみたいなのが見えて「これ何?」と思ったが、自転車の勢いがついていたので止まることができず、2人とも中に入ってしまった。
トンネルの中に入ると自分の体が引き伸ばされるような感覚があり、でもすぐに抜けた。
「いまの何だったんだ?」と話しながら山の下の友達の家に行くと、玄関の前で待っていた友達が「何やってるんだよ! なんで今日来てくれなかったんだよ!」と怒っている。
Tさんは彼が何を言っているのかわからず「今日来てくれなかったってなんだよ。12時半ごろ昼ご飯を食べてすぐに出たからまだ1時前だろ?」と返すと、「なに言ってんだ! もう夕方じゃねえか!」と友達は言った。
時計を見ると午後6時で、青空だった空は夕焼けに変わっていた。
それからTさんは数年に1回のペースで不思議体験をするようになった。
そしてついに、時間以外のものを跳び越えてしまった。
Tさんは鳥取県の中心部から少し離れたところに住んでいて、ドライブと声優さんが趣味で、関西や関東の方まで車でよく出かける。
その日も名古屋で声優さんのイベントがあり、終わってからファン同士のオフ会に参加した。
オフ会は盛り上がったが、Tさんは残念ながら翌朝仕事があり、切り上げて午後11時半ごろに名古屋を車で出発しました。
名古屋から鳥取のTさんの家までは車でだいたい6時間かかり、おそらく翌朝6時ごろには着くだろうと思いながら高速に乗った。
高速に乗ってすぐ、目の前に再び小学生のときに見た白いトンネルが現れた。
何度か体験して慣れていたTさんは「またこういうのか……」と中に入った。
すると同じように体が引き伸ばされるような感覚があり、しかもそのときは掃除機で吸い込まれるような強さを感じた。
「この後どうなるんだろう」と思っていたらすぐに外に出て、ハンドルを握ったまま高速道路を走っていた。
すぐ目の前に高速の出口が見え、「ヤバい!」とあわてて急ブレーキを踏み、なんとか高速を出た。
「どこの出口だ?」と確認すると、自分の家に一番近い高速の出口だった。
しかも時計を見ると、名古屋を出てからなんと30分しか経っていなかった。
名古屋から鳥取はおよそ400km離れており、TさんはETCを使って高速に入ったので「入った時間」と「出た時間」がしっかりと記録されている。
名古屋から鳥取まで400kmの距離を30分で着いてるから、時速にすると800km。
ちなみに時速800kmはジェット旅客機並みの速さだ。
Tさんのような異常な速度で走った可能性が記録された場合、警察から呼び出しがかかることがあり、Tさんも事情を聞かた。
高速道路にはオービスやNシステムなど走行中の車を監視する装置が各所に設置されていて、警察も事前にTさんの車を調べていた。
しかし不可解なことに「入った場面」と「出た場面」は写っているが、その途中の画像が一切ないのだ。
Tさんはその理由について白いトンネルのことを説明したが、警察は信じてくれず、最終的に「計器の故障が原因」ということで処理された。
ただ警察の担当者いわく「Tさんのような不思議な出来事は意外とある」そうだ。
走っている車が途中で消えたり、目の前に突然海外ナンバーの車が現れたり……。
そういう場合、やはりTさんの例と同じように「計器の故障」で処理される。
Tさんの話が真実だとして、どんな仕組みで起こったのかを考察してみる。
Tさんの話で特に興味深いのは、白いトンネルに入ったとき感じた「体が引き伸ばされる感覚」だ。
これは極端な潮汐力によって起こる「スパゲッティ化現象」を連想させる。
スパゲッティ化現象とは、ブラックホールのようなとても強く不均衡な重力場の中に人が入ると、頭とつま先でかかる重力が極端に違うため、体がスパゲッティのように細長く引き伸ばされて破壊される現象だ。
この現象は2020年10月、ヨーロッパ南天天文台によって実際にブラックホールに近づいた天体が引き伸ばされて破壊される様子が観測された。
※スパゲッティ化現象の動画/ESO/M. Kornmesserより
しかし高速道路の途中にいきなりブラックホールが現れたら、Tさんや車も無事では済まない。
ナナフシギさんの動画を見たとき、スパゲッティ化現象を思いついたがすぐに否定した。
でも2023年4月、とても興味深い論文が発表された。
「ブラックホールの一部は、ブラックホールに見える別の天体かもしれない」という研究だ。
Imaging topological solitons: The microstructure behind the shadow(トポロジカル・ソリトンのイメージ:影の背後にある微細構造)/APS
この論文を発表した米ジョンズ・ホプキンズ大学の研究チームによると、いままでブラックホールと思われていた天体の中には「トポロジカル星」や「トポロジカル・ソリトン」が含まれるというのだ。
「トポロジカル・ソリトン」とは「位相欠陥」とも呼ばれ、とても簡単に説明すると、時空がねじれたときにできるシワだ。
紙にシワができるとなかなか元に戻らないように、宇宙にできたこのシワはいつまで経っても消えない。
しかもこのシワは強い重力で空間が歪んでいて、一見するとブラックホールのように見える。
ただしブラックホールと違うのは、中心に重力や密度が無限になる「特異点」や、そこを越えると光でも抜け出せなくなる「事象の地平面」をもたないことだ。
ブラックホールの場合、底が特異点になっており光が中に入ると特異点に飲み込まれて二度と抜け出せない。
でもトポロジカル星の場合、特異点がなく底が丸くなっており入った光は外に抜け出すことができる。
しかもジョンズ・ホプキンズ大学の研究チームによると、トポロジカル星はこんなイメージに見えるそうだ。
この画像では暗い色になっているが背景や光の曲率によっては白く見えるときもあり、色を調整すると、中に輪っかが連なった「白いトンネル」に見える!
位相欠陥は、宇宙が誕生したビッグバンの後、宇宙が超高温から急速に冷えていく過程であちこちにシワが寄るようにできた可能性があり、細く長いので「宇宙ひも」と呼ばれる。
プリンストン大学のリチャード・ゴット博士はこの宇宙ひもを利用してタイムトラベルの理論を考案した。
宇宙ひもはとても強い重力をもっており、まるで宇宙空間にできた「ひび」で、このまわりを1周するとひびみたいに欠けているせいで、角度が360度より小さくなる。だからその分時空を跳び越えてしまう。
この「宇宙ひも」がいわば、空間を跳び越えるワームホールのような役目をする。
あるいは単純に位相欠陥が存在するだけで、その強い重力から一般相対性理論により、周囲の時間の経過が遅くなる。
たとえばTさんが車ごと位相欠陥に入った場合、Tさんの時間だけが遅くなり、そこから出ると時間を飛び越えたことになる。
Tさんは何らかの理由で白いトンネルのように見える位相欠陥を通って「時間」と「空間」を跳び越えたのではないだろうか?
位相欠陥でもその強い重力で、スパゲッティ化現象は起こる。
しかし疑問が残る。なぜ突然高速道路に位相欠陥ができたのか?
ジョンズ・ホプキンズ大学の研究チームによると今回の論文は、この世界が超弦理論で予想される高次元を含むことを前提にしている。
つまりわれわれの住む4次元時空以外に、5次元や6次元があるというのだ。
トポロジカル星は5次元の影、トポロジカル・ソリトンは6次元の影だという。
5次元や6次元の物体の影響で、この宇宙の時空がねじれ、位相欠陥が生み出される。
4次元時空にわれわれがいるように、5次元や6次元の世界にも生命体がいる可能性がある。
高次元にいる彼らがこの世界にやってきたとき、時空がねじれて位相欠陥が生まれる。
Tさんはそれに巻き込まれたのではないだろうか?